ある朝のメール返信で気づいたこと
先日、朝9時から11時まで、ひたすら自分宛てのメールに返信していました。取引先からの見積確認、請求書の承認、社内の細かい判断——ひとつひとつは5分で片付くものばかり。でも気づけば2時間が過ぎ、今日もまた「経営の仕事」には手がつかないまま、午後の会議に突入していく。
「社長にしか判断できない」と私が思い込んでいた仕事の多くは、実はルールと権限を明確にすれば、他のメンバーでも十分さばける。この当たり前を、私は40歳を過ぎてようやく、身体で理解しました。
属人化は「信頼の副産物」として起きる
属人化の厄介なところは、悪意なく進行することです。
「この案件は自分が見たほうが早い」「部下に任せるのは心配だから、最後は自分で確認しよう」——こうした一つ一つの小さな判断の積み重ねが、気づけば自分の机の上に仕事を集めていく。
部下を信頼していないわけではありません。むしろ信頼しているからこそ、自分と同じ判断スピードを無意識に求めてしまう。結果、誰も育たないまま、社長の時間だけが溶けていく。これが中小企業の社長が陥りがちな罠だと、自戒を込めて思います。
まずは「権限の棚卸し」から始めた
この3ヶ月、私たちは地味な作業から手をつけました。社長の時間に流れ込んでくる意思決定を、1週間かけて全部書き出す。そして一つずつ「これは本当に社長が判断すべきか?」を問い直しました。
| 判断の種類 | 移管先 |
|---|---|
| 100万円以下の発注承認 | 部門長 |
| 採用初期の一次面談 | 人事リーダー |
| 社内ツールの新規導入相談 | 各部門長 |
| 定例取引先への見積最終確認 | 営業マネージャー |
書き出して初めて見えたのは、「社長でなくてよい仕事」が想像以上に多かったことです。そして移管から3ヶ月、明らかに部門長たちの意思決定スピードが上がってきました。判断の数をこなすほど、人は速く、正確になる。当たり前のことを、ようやく私は実感しています。
おわりに
属人化の解消は、ツール導入やマニュアル整備の話のように見えて、実のところ経営者自身の「手放す覚悟」の話なのだと感じています。皆さんの会社では、社長しかできない仕事、実際どれくらいありますか?書き出してみると、案外少ないかもしれません。
次回は、この3ヶ月で見えてきた「任せるときに気をつけたこと」について書いてみようと思います。